海外のかわいいあみぐるみを見つけても、「英語だから無理かも」と諦めていませんか? 英語のあみぐるみ編み図は、英会話ができなくても、略語と基本ルールを覚えれば少しずつ読めるようになります。
最初に確認したいのは、そのパターンがUS式(アメリカ式)かUK式(イギリス式)かということ。あみぐるみでは sc・inc・dec・rnd など、限られた言葉が繰り返し登場します。
ただし、同じ略語でも作者によって意味が違う場合があります。必ず作品ごとの「Abbreviations(略語一覧)」を確認し、そこに書かれた説明を優先してください。
かぎ針編みそのものが初めての方は、先にあみぐるみ超初心者の始め方ガイドから読むと安心です。

英語のあみぐるみ編み図は「文章パターン」が多い
日本の編み図は記号を使った図が中心ですが、海外のあみぐるみパターンでは、1段ごとの作業を短い文章で示す「文章パターン」がよく使われます。
たとえば「Rnd 3: (sc, inc) x 6 (18)」なら、「3段目は細編み1目、増し目1回を6回繰り返し、合計18目」という意味です。英文を一語ずつ訳すより、略語を編み方の記号として捉えると読みやすくなります。
文章パターンには段ごとの指示と、最後にその段の合計目数が書かれていることが多く、目数を照らし合わせながら進められます。図がなくても、ルールが分かれば形を追えるのが特徴です。
最初にUS式とUK式のどちらか確認する
いちばん注意したいのがUS式とUK式の違いです。同じ「dc」でも、US式では長編み、UK式では細編みを指します。ここを取り違えると、作品の大きさや形が大きく変わります。
| 日本語 | US式 | UK式 |
|---|---|---|
| 鎖編み | chain / ch | chain / ch |
| 引き抜き編み | slip stitch / sl st | ss または sl st |
| 細編み | single crochet / sc | double crochet / dc |
| 中長編み | half double crochet / hdc | half treble / htr |
| 長編み | double crochet / dc | treble / tr |
| 長々編み | treble / tr | double treble / dtr |
| 三つ巻長編み | double treble / dtr | triple treble / trtr |
「US terms」「American terminology」「UK terms」「British terminology」などの表記を探しましょう。明記されていないときは略語一覧を確認し、sc が使われていればUS式の可能性が高いと判断できますが、決めつけず作者の説明を優先します。

あみぐるみでよく使う英語略語一覧
| 略語 | 英語 | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| MR | magic ring | わの作り目 |
| ch | chain | 鎖編み |
| sl st | slip stitch | 引き抜き編み |
| sc | single crochet | 細編み(US式) |
| hdc | half double crochet | 中長編み(US式) |
| dc | double crochet | 長編み(US式) |
| st / sts | stitch / stitches | 目/複数の目 |
| rnd / rnds | round / rounds | 段(輪編み) |
| row | row | 段(往復編み) |
| inc | increase | 増し目 |
| dec | decrease | 減らし目 |
| sc2tog | single crochet 2 together | 細編み2目一度 |
| rep | repeat | 繰り返す |
| BLO | back loop only | 向こう側の半目だけ拾う |
| FLO | front loop only | 手前側の半目だけ拾う |
| FO | fasten off | 糸を切って始末する |
| MC | main color | メインカラー |
| CC | contrasting color | 配色・別色 |
| pm | place marker | マーカーを付ける |
| yo | yarn over | 糸をかける |
| RS | right side | 表側 |
| WS | wrong side | 裏側 |
| approx | approximately | 約、およそ |
| beg | beginning | 最初、編み始め |
| rem | remaining | 残り |
| tog | together | 一緒に編む |
MR や FO は広く使われますが、作者独自の略し方もあります。上の表は便利な目安として使い、作品内の略語一覧や凡例がある場合は、必ずそちらを優先してください。
英語パターンでよく見る文章を読んでみよう
- Rnd 1: 6 sc in MR (6)
1段目:わの作り目に細編みを6目編む(合計6目)。 - Rnd 2: inc in each st around (12)
2段目:各目に増し目をして一周する(合計12目)。 - Rnd 3: (sc, inc) x 6 (18)
3段目:細編み1目、増し目1回を6回繰り返す(合計18目)。 - Rnd 4: (2 sc, inc) x 6 (24)
4段目:細編みを2目編み、増し目1回を6回繰り返す(合計24目)。 - Sc around.
一周すべて細編みで編む。 - Stuff firmly.
綿をしっかり詰める。 - Fasten off, leaving a long tail for sewing.
縫い付け用に長めの糸を残して糸始末する。 - Do not join. Work in continuous rounds.
引き抜いて閉じず、ぐるぐると連続した輪で編む。 - Change to color B.
色Bの糸に替える。 - Place marker in first stitch.
最初の目にマーカーを付ける。
あみぐるみは連続した輪で編むことが多いため、段の始まりを見失わないようにステッチマーカーを使うと安心です。基本の道具はあみぐるみに必要な道具の記事でも詳しく紹介しています。

カッコ・記号・数字の読み方
- ( ):中の指示をひとまとまりとして繰り返す、または段の合計目数を示す。
- [ ]:複数の作業をひとまとまりにする。作者によって使い方が違うため凡例を確認する。
- *:アスタリスクから指定位置までを繰り返す。
- x 6 / rep 6 times:その指示を6回繰り返す。
- (18):その段を編み終えたときの合計が18目。
2 sc は「続く2目に細編みを1目ずつ」の意味で使われることが一般的です。一方、2 sc in next st は「次の1目に細編みを2目入れる」、つまり増し目を表します。数字が「目の数」なのか「同じ目に入れる回数」なのかを、in next st などの語と一緒に確認しましょう。
英語パターンを読む手順
- 完成写真と作品サイズを確認する。
- 必要な糸、かぎ針、綿、目、その他の材料を確認する。
- US式かUK式かを確認する。
- その作品の略語一覧を読む。
- ゲージや注意書き、輪の閉じ方を確認する。
- 最初の1段だけ日本語に置き換える。
- 段の始まりにマーカーを付ける。
- 1段ごとに合計目数を確認する。
- 分からない指示だけ辞書や翻訳機能で調べる。
- 最後にパーツの取り付け位置と仕上げ方法を確認する。
最初から全文を翻訳しようとすると疲れてしまいます。「略語一覧」「材料」「1段目」の順に、小さく区切って読みましょう。23年以上ハンドメイドを続け、布小物やあみぐるみを作ってきた経験からも、まず手を動かし、目数を確かめながら進める方法が理解につながると感じています。

翻訳アプリ・AIを使うときの注意点
翻訳アプリやAIは、長い説明文の概要をつかむときに便利です。ただし、crochet(かぎ針編み)特有の略語や、US式・UK式の違いを無視して誤訳することがあります。
- 最初に「US式のかぎ針編みパターンです」など前提を伝える。
- sc、dc、inc、decなどの略語を勝手に一般英語へ直さない。
- 数字、繰り返し回数、合計目数は原文と見比べる。
- 不自然な訳は、前後の段や完成写真と照合する。
- 作者独自の略語は、その作品の凡例を入力してから確認する。
翻訳結果は「答え」ではなく補助として使い、最終的には原文の数字と略語を確認しましょう。有料パターンの全文を第三者のサービスへ入力するときは、利用規約やデータの扱いにも注意が必要です。
海外パターン利用時の著作権とマナー
無料で公開されているパターンでも、著作権がなくなるわけではありません。作者が定めた利用条件を読み、パターン本文や図、写真を無断で転載・再配布しないことが大切です。
- 有料・無料を問わず、パターンの全文翻訳を公開しない。
- スクリーンショットやPDFをそのまま共有しない。
- 作品を販売できるかは、作者の販売条件を確認する。
- 紹介するときは作者名と正規の掲載ページへリンクする。
- 「無料パターン」と「自由に再配布できる素材」は同じではない。
完成作品の販売可否、クレジット表記、商用利用の範囲は作者ごとに異なります。判断に迷う場合は、利用条件を確認するか作者へ問い合わせましょう。
英語が苦手でも、まず1作品から始めてみよう
最初の1作品には、使う色が少なく、パーツが少ない、小さなあみぐるみがおすすめです。1段ごとの目数が書かれ、略語一覧と工程写真があるパターンなら、より取り組みやすくなります。
英語パターンはまだ不安という方は、材料と日本語の説明書がそろった国内キットから始めても大丈夫です。キットと本の違いを確認し、作品を探すときは初心者向けあみぐるみキットまとめも参考にしてください。
一度、sc・inc・decの繰り返しで形ができる感覚をつかむと、次のパターンはぐっと読みやすくなります。全文を完璧に訳すことより、作者の凡例を確認し、1段ずつ目数を合わせて完成させることを目標にしましょう。


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